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取材

    Vol.02
  • サラリーマンからの転身
  • ~お花屋さん家業を先代から引き継ぐ~

    自分を食わしてくれてたオヤジのビジネスってなんだったのか。

    1966年、商社で働いていた先代は「花と薬は儲かる」と言う言葉を聞いて一念奮起し脱サラ、早速リヤカーをひきだした。

    やってみると花のよさにのめり込むことになり次々と新しい事に挑戦する毎日。

    「花の業界は良くも悪くも市場が絡んでますから古い習慣があるんですよ」現在目の前で話をしてくれているのは二代目だ。

    先代から完全に経営権を譲り受けたのはここ最近の事である。そんな彼が実家の花ビジネスに興味を持ったのは大学を卒業して自分も商社マンとして働き出してからのこと……。

    「私がいた機械系の商社ミスミは元々カタログ通販の会社で、そこのネット部門に携わり、勉強していく中でビジネスと言うものに興味を持ち出したんです」

    「ビジネスマン対ビジネスマンとして先代と話をしている中で“もう少し、花っていけるよね”という話になって、そこからなんですよ。花のマーケットに興味を確かに自分が示したんですよね」

    先代も二代目も商社出身という事で、よくあるような“花が好き”ではなくて“商材”として見る目を持っていた。

    そうこうしている中で勤めていた会社を5年程で辞めることに。「たまたまプリント基板の事業を立ち上げようかという話があって、仲間3人とそこを辞めて会社を作ったんですね。2002年の事なんですけど」

    「4年ぐらい頑張ってある程度ご好評いただいて軌道に乗ったので花のビジネスをやってみようかと……。最初からある程度メドがついたらやるつもりだったんですけど、私ニッチなところが好きなんですよ」

    「基板もそうなんですけど人がやってないようなところに入るのが好きで。それで父親に話をして“やらしてくれ”と、そしたら『わかった』と」

    完全に引き継いで代表権を得たのは昨年の10月。基板の方は今でも非常勤でやっていて基板の仕事にもたずさわりながら花ビジネスにまっしぐらに進もうとする彼。どんな子供時代を過ごしたのだろうか……。

    いわゆる切花というのは家にはなかったです。

    小さい頃にやっぱりお家には花がたくさんあったのですか?そんなありきたりの質問をぶつけてみた。

    「まったくなかったですね。もともと店舗と実家は離れてたので、いわゆる切花と言うのはまったくなくて、やってくるのは瀕死の観葉植物とかそういうのばかりでした」

    「そういうのを母親が元気に元の状態に戻してまたお店に戻っていく、そんな感じでした。なのでうちが花屋をやってるということを実感する事はなかったですよ」

    社屋取り壊し急遽決まってこれはまずいぞ、と。

    現在は新宿花大と、社名に新宿がついてるとおり、お店は新宿に1店舗とここ板橋に1店舗の計2店舗。

    こちら板橋店は2階に本社が有り仕入れは近くにある板橋の市場、主に仲卸から新宿店の分も含めて仕入れている。

    「うちはイベントの仕事も多いので板橋という場所が立地的に便利なんですね。ここの1階(板橋店)は店売り以外に、イベント装飾活け込みなどの作業場としても機能していています。こちらの店売りは新宿店とは違って花をそのまま素材として売るっていう感じの花屋になります」

    「新宿店の方はオフィス街にあるのでOLさんが通勤の朝夕にギフト用に買っていったり、法人さんのお客様があったりとそんな感じですね」

    「板橋店はもともとは17号沿いの中山道、ここから歩いて5分程度のところに10数年店をかまえていたんですが、そこの建物が建て壊しになったんですよ。突然決まった話でこれはまずいぞ、と大急ぎで探したんですが、それが現在の場所だったんです」

    「敷地的には三分の二くらいになって手狭になったんですが、とにかく場所を確保しないといけないので、アパートちっくな建物に無理やり押し込めました。昨年の1月1日に引っ越したのでまだ2年くらいです。いちおう仮店舗のつもりでまた動くつもりではあるんですけど……。」

    大きな道路沿いに面してはいるが一見すると普通によくある昔ながらのお家みたいなところである。

    記者会見など舞台の装飾を手がけることも多いです。

    「陰日向に咲く、ですね」そういって見せてくれたのは、今篤姫などで勢いをみせる若手ナンバーワン女優宮崎あおいが出演する劇団ひとりの小説デビュー作の映画化、舞台挨拶。

    「これは本番前の準備が15分しかなく、普通は1人2人とかで前日に準備したりするんですけど、この時は10数人で台車7~8台でおしかけて一気に設置して一気に片付けるというようなことをしましたね。失敗の許されない仕事でした」

    いままで手がけたイベントや装飾の仕事を見せていただいた。六本木ヒルズ、パシフィコ、ビッグサイト、次々と聞き覚えがある建物の名前が出てきた。

    「こういったものはイベント会社さんと組んでやる事が多いです。いわゆる広告代理店さんからイベント会社さんに仕事の依頼があり、その中で花の部分を任せてもらうというか、そんな感じが多いです」

    舞台挨拶、広告代理店、映画……私事ながら大阪とは違うな、と感じる瞬間である。

    ネット、通販が軸になっています。

    さて、もう一度おさらいしてみよう。もともとは先代がリヤカーで花の販売、いわゆる引き売りから開始。

    そこから店舗、そしてスクール、イベント、コンサルティング、通販ドットコム事業と業務を広げてきたわけだが、いったい何をメインでやっている会社なのだろうか。

    「通販ですね。時代というか今では通販こそが一番売上げがあります。花急便という一般向け、法人向け、それと切花問屋というデザイナーさん向け、これらインターネットを中心とした通販こそ売上げが一番あります」

    「次に店売り、その次がイベントになります。通販はネットだけではなくて電話やファックスも含んでってことになります。法人さんはまだまだ電話、ファックスが多く、通販では法人さんが6割を超えてますしそういった対応も重要なんです」

    インターネットいわゆる大手の楽天とかには出店しているのか尋ねてみると……。

    「以前は楽店さんに出店していたこともあるんですよ。でも面白みがないと判断したので2001年頃ですかね、ちょうどネットバブルで世の中が盛り上がってて、その頃から独自ドメインでやろうと決めて今の体制になっています。楽天は安くないと売れないのと、良いものを早く当日お届けするという、うちの方針ではちょっと難しいのかなとも思いまして」

    実際には常に新鮮な花が店頭に並ぶために回転率をあげようとしての通販事業だったそうだが、今ではネットと店での売上げが逆転してしまっているとか。

    全国カバー率。

    「いえ、大阪はスポンと抜けてるんですよ」通販事業の花急便、日本全国どのように配達してるんですか? とお聞きした時に飛び出した言葉。

    「もともとうちがコンサルティングをして開業した花屋が全国にあって、例えば北海道だとあそこ、名古屋だとあそこ、と配達をお願いしたりするんですね。業務提携という形で現状20数社と取引しています」

    「ただそうやって大阪みたいに抜けているところがあるんで、そういったところは花キューピットなり他の組織のネットワークを使うこともあります。あ、もちろん東京23区内は自社の車で配達していますけど」

    お花を使う場面を提供していく。

    姉が一人いると言う二代目。予定していた1時間を過ぎても嫌な顔ひとつ見せず話を続けてくれた。

    「うちは営業をして仕事を取ることも多いですね。企業理念にも書いてますが『花を売るんではなくて花を使う場面を提供していく』と」

    「私は現場で作業はあまりしないし、そういうのは技術のある従業員に任せます。そのかわりというか自分はハウスメーカーさんに行ったりイベント会社さんに行って、お花を使う場面をどんどん作っていただく、という提案をするんですね」

    「どういったことかというと、たとえば住宅展示場なんかでキッズガーデン教室を開き、そこに講師を派遣する。そこに子供をあずけることによって若いご夫婦がゆっくり住宅を見ることができるし営業マンの話を聞く時間もできる」

    「そうしたことによって住宅購入の制約率が結果としてあがる、と。相手のメリットのある話をして、それを実現するために花を使ってもらう。そういう提案をしています」

    「イベント会社さんがそういった提案をハウスメーカーさんに持ち込むことも多いんですが、その提案の1つをうちが提供してあげることによってイベント会社さんの営業もしやすくなる、と」

    いずれはイベント専門の部隊も作りたいとか。もちろん結婚式とかそういったことも

    「ただ、お花って何年もそうやって取引してると必ず失敗があるんですね。ブーケくずれちゃったりとか……。そういったのが順番にまわってきたりもする。もちろんキチンキチンと仕事はするんですが、とにかく自分で動いていかないと」

    営業の仕方は商社マンの頃に身につけたのですか?

    「でも、僕は営業マンじゃなかったんで。仕組みを作って売るみたいなそんな仕事をしていました。特に営業を学んでないですね。今の花急便なんかの通販はその頃の仕事で学んだとは思いますけど」

    つながりが大事だし、営業が大事だし。

    「どんどんつぶれています」衝撃的な言葉が飛び出した。花屋が次々となくなってるそうなのだ。年間で数十~百くらいは……という。いったいどうしてなのか。

    「今、スーパーでも花って買えますよね。100円ショップにも置いてる。そうなると花屋で花を買う必要がなくなってくる。ただお店を開いてお客さんを待ってても売れる時代じゃないと思います」

    専門店では難しいということですか?

    「なにか特化したもの、通販だったりイベントだったり、そういったものがないと難しいですね。小売でうまくいってるのは青山フラワーマーケットさん。あそこは100%店売りですばらしいと思いますね。青山フラワーマーケットさんが出てきて日本の花の需要が増えたので本当に良かったです。花が身近になりましたよね」

    先代が花キューピットの理事をやっていたこともあってわりと全国の花屋に詳しいらしく……。

    「皆さんつながってるんですよ。どういうことかというとやはり老舗どうしのつながりみたいなものがあって、たとえば大阪のAという花屋が東京の仕事が入ったときは東京のBさんへ。東京のBという花屋が大阪の仕事が入ったときは大阪のAさんへ仕事を頼む。こんなふうに色々つながってるんで、新規でいきなり花屋をはじめても店売りだけでは難しいと思います。」

    開業支援

    スクールは、お花屋さんを開業したい人向けの内容が多いとのことだが、どういった方が習いに来るのだろうか。

    「お花屋さんってのは昔ながらの世界で見て覚えろみたいな業界なんで、なかなか技術を教えてくれないんですね。そういった状態なので花屋さんで働いているような人が勉強にきます」

    「あとは“花屋をしたいんです”と言うようなOLさんが多いですね。コンサルティング開業支援になるんですが、そういう内容の本を出版してるのでそれを見て来る人も多いです。ただお断りする事も多いですね」

    「きちんと資金を貯めたり準備なりしてから来てください、と追い返す事もあります。やはり騙し騙しお付き合いは出来ないので、ようはそんなに甘くないっていうのも知ってもらうようにしてます。基本的に3年は赤字を覚悟しないといけないので数百万は貯めてきてください、と」

    老舗の花屋には自社ビルを建てたりするところもあるそうだが今ではそんな事はありえないとか。

    作品ではなく商品を作ってる。

    では、これから花屋さんをしたいと思っている若い子に何か一言あればと話を向けてみると……。

    「資金力、営業力。先程も3年は赤字を覚悟しないといけないと言いましたが、実際すごく大変。店で待っててお客さんが簡単に来てくれるということはない、それに頼るとつぶれちゃいます」

    「法人のお客様がないと厳しいですね。営業マンを抱えてというのは難しいですが営業すると仕事が取れる」

    「あと、うちに働きに来てくれる人に面接でもよく言うんですが、うちは作品を作ってるわけではなく商品を作ってる。作品を作りたいならスクールに行ってくれ、と話しています。ただ花に囲まれたいから花屋をするって方ではうまくいかないと思います」

    どんな仕事でもそうだが花の商売も簡単ではなさそうだ。

    最後に……。「花を大きくと書いて花大。とある書道家の方に1日ホテルに缶詰めになってもらってトイレットペーパーに書きなぐってもらった中の1つがロゴになっています」お店を訪ねた時は要チェック!

    ■法人データ
    【会社名】株式会社 花大(カブシキガイシャ ハナダイ)
    【創業】1966年7月1日
    【本社】〒173-0001東京都板橋区本町11-7
    ※都営三田線板橋本町駅徒歩5分
    【資本金】1,000万円
    【代表者】澤野裕悟
    【従業員数】25名(2008年10月現在)
    【TEL】03-6715-1187(代表)
    【ホームページ】http://www.hanadai.co.jp/
    【業務内容】
    通販事業、フラワービジネスコンサルティング事業、ブライダル事業、葬祭事業、卸事業、ガーデニング造園事業、イベント事業、小売事業、スクール事業

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